『側弯症(そくわんしょう)』とは背骨が弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがある病態です。側弯というと横方向にカーブがある状態だけに目が行きがちですが、実際には背骨のカーブは前後、左右、捻じれと立体的にゆがんでいるのが特徴で、早期発見のためには、お辞儀をした時の背中の高さチェックします。
脊椎の捻じれ(回旋)を伴った簡単には真っ直ぐに戻らない「構築性側弯」と、何らかの原因で逃避姿勢として一時的に起こる「機能性側弯」に大きく分類されます。
脊椎のねじれを伴った側弯で、簡単にまっすぐに戻らない状態です。遺伝子の関与などが考えられている、特発性側弯が構築性側弯の約8割を占めます。学校健診で脊椎の再検査と言われたり、本人やご両親が背骨の曲がりに気づいて発見される場合があります。
来院される患者さんで、普段の姿勢の悪さが原因で側弯になってしまったと心配される方もみえますが、基本的には日常生活の負担だけで捻じれを伴う側弯が発症することはなく、前述の遺伝子等の関与が関係しているため、正しい運動や日常生活の正しい使い方を覚えて適切な背骨への負担の減らし方を覚えることが大事になります。
痛み・姿勢・身体の使い方のクセなどの原因による一時的な側弯状態で、基本的にはねじれはほとんど無く原因を取り除くことで側弯は改善されます。分かりやすい例でいうと、ぎっくり腰になったときに痛みで背骨が大きく曲がってしまうことがあります。こういった場合は原因(痛み)が解消されればカーブもなくなる場合が多いです。
『側弯チェックの評価のコツ』
※側弯症は、成長期に急速に悪化する場合がありますので、少しでも気になったら
早めに『家庭でできるチェックシート』をご活用ください。評価方法、チェックのコツ等の解説を行っています。
ゲンシンゲンブレース(Gensingen Brace by Dr.Weiss®:GBW)について
シュロス式装具 ゲンシンゲンブレースは、Dr.Weissによって設計される側弯症治療のための世界最先端の装具(コルセット)です。以前はドイツまで行って採型必要がありましたが、ドイツまでいかなくても日本で採型しオーダーすることができるようになりました。(株式会社 Schroth Best Practice Japanが日本唯一の輸入代理店です)
従来の装具のように進行の予防を目的にするわけではなく、積極的に改善を目指す装具です。また、従来の装具と違い矯正力が高いにもかかわらず、小さく、軽く、患者さんの使いやすい装具です。装具は長時間着けることを可能にするため徹底的に調節を行い快適に使えるように細部まで微調節が行われます。
Dr. Weiss 、Dr.BudiによるYouTubeもご参照下さい。
・https://youtu.be/j_PfdlZzN3E
・https://youtu.be/vWlFi_elL7M?si=QlzqeDC-WBwFokWR
・https://youtu.be/pZASECFcd7Y
ゲンシンゲンブレースは、より良い効果を出すためには3D(矢状面、前額面、水平面)矯正が必要である、というシュロス法の原理に基づいて、Dr.Weissによって1つ1つ設計された装具です。
これまでの『進行を遅らせる装具』とは全く違い、側弯の矯正を目的とした装具です。形状はそれぞれ異なりますが、明らかに左右非対称に設計された体幹装具で矯正力がとても高いのが特徴です。
従来の装具との違い
シュロスベストプラクティス ジャパンでは従来の装具との違いについて実例を交えて紹介しています
常に快適に、かつ効果的に使用できるように細かな調節が可能になっています。側弯の運動や装具によって改善してくると、良くなった分だけさらに改善を加えることで良い状態を長時間させることが可能です。また子供の場合に身長も大幅に変わるために、その点も調節を行う必要があります。参考写真を見ていただくと細かなパーツが追加され長さの調節や形の変更など大幅に調節をしてあることがよく分かると思います。
従来の装具と比べて、小さく、軽く、着け心地が良いので、装具の装着時間が長くできます。また無駄なパーツがなく、小さく、動きやすく、快適に付けられるように工夫されています。胸や腰の周りが不必要に出っ張らないため、洋服の下に着けると装着していることが目立ちにくい装具です。
装具の調節はシュロス法の原理に基づいて行われます。したがって当たって痛い部分を安易に切り落としたりパッドを入れてごまかすのではなく、最低限必要な部分を残して調節が行われます。そのため、この装具は限られた人しか調節できないように決められているため、高い品質の維持されています。
日本へシュロスセラピーが輸入されるまでのHistory
側弯に特化した画期的な運動療法や装具療法が日本で行えるようになったのは、代表の石原先生が側弯症の子供の母親として娘に側弯症の手術を受けさせたくない一心で、日本ではまだ遅れている側弯症の治療を探そうと決意したところから始まります。日本の標準治療では、側弯のカーブを減らすためには手術しか治療がないということに疑問を持ち単身でヨーロッパの側弯症の学会で勉強をすすめたところ、運動療法の必要性を痛感します。そして、さらなるリサーチを重ねエビデンスがあり最も信頼でき効果があるのはシュロス法であると確信。
しかし、効果的ではあるもののオリジナルのシュロス法はとても複雑で現代の日本の子供たちには到底継続できるものではない…、と感じていたところシュロスファミリーの3代目であるワイス博士(Dr.Hans Rudolf Weiss)が、効果をそのままに大胆に現代的に改良し、新しい運動療法シュロスベストプラクティスを作り上げたことを知ります。そこから直接教えを乞うため、ドイツのワイス博士のクリニックを訪ね、たくさんの知識と良い関係結び、ここからSchroth Best Practice®とGensingen装具が日本に輸入されることとなりました。
現在、日本でこのシュロスセラピー(側弯症の改善を目指した保存療法)が行えるのは、実際に当事者(側弯症の娘の母親)として何としても良くしたいという思いから本当に効果のある方法を長年かけて探してたどり着いたからです。
当院は、側弯運動のための充実した設備を完備しており、安心してシュロストレーニングを行えるようになっています。肋木や大きな鏡を使って実際に運動を行うことでよりしっかりとした矯正を行います。来院時に正しい背骨の動きを体に覚えさせることが自宅でのセルフトレーニングにも良い刺激となります。また広いスペースではグループレッスンが行えるため、同じ志を仲間と練習することで本人のモチベーションになったりご家族の横の繋がりが出来るように、きめ細やかなサポートを全力でさせていただきます。
また県外からのお越しの方にもアクセスが良く愛知県の名古屋ICから25分、引山ICから8分ほどの立地にあり、複数のお車が停められる駐車場も完備しております。
どんな治療か相談できますか?
LINEや電話相談を行っています。相談に関しては費用をいただいていないのでまずは一度ご連絡ください。
LINEであれば当日中にお返事いたします。
通院頻度や回数は?
運動指導は、3~4回で一通りの運動メニューを覚えていただいています。運動を覚えた段階で通院を終了する方もみえますが、その後も運動の確認や来院時しかできない運動をするために、ペースを落として来院される方もみえます。ペースに関しても整体などと違い週に何回も通っていただく必要なく、1~2週間に1回のペースです(お住いの距離により応相談)。
一回の時間はどれくらいかかりますか?
初回はご持参いただいたレントゲンや背骨の状態をみながら今後の治療プランを相談したり、シュロス法がどんなものなのか細かく説明する必要があるため1.5~2時間ほど時間がかかります。その後の運動指導に関しては、その方の体力に合わせてですが1時間ほどになります。
シュロス法をしっかり理解していただくためには、短い時間の運動指導では正しい方法が覚えられないため、3~4回は長めの時間での運動指導を受けられることをお勧めします。
側弯は治りますか?
特発性側弯症では発症の原因(遺伝子など)を治す方法はありませんが、カーブや捻じれを減らすことは可能です。そして成長期の間にその状態を長く続けることがとても重要になります。背骨を真っ直ぐに治ることは難しいですが、取り組み方や状態によって大きく結果は変わりますが側弯のカーブをより小さくすることは十分期待できます。
手術を検討していてもできますか?
仮に手術をするにしてもカーブが少ない方が手術の範囲も小さくなる可能性がありますのでぜひ行っていただきたいと考えています。また運動指導の中には背骨の負担を減らすための生活のコツもたくさんお伝えします。自分の背骨と向き合っていくためにはぜひ知っておいて欲しい知識です。
軽い側弯は放置で良いの?
軽いカーブで側弯が発覚できた場合でも、早期から運動に取り組むことはとても意味があります。側弯症は成長期に進行しやすいことが分かっているため、悪化してから慌てるのではなくカーブが小さい時から積極的に運動を行うことが大事です。
(参考ブログはこちら:軽い側弯は放置で良いの?)
大人の側弯にも効果あるの?
大人の側弯もカーブが大きい場合には、背骨に負担がかかり続けることで年に1°進行するとの報告もあります。また子供のころには側弯によって腰痛が起こることは少ないですが、大人の場合には腰痛で悩まされるケースも少なくありません。そのため運動や場合によっては装具療法で、背骨にかかる負担を減らすことは悪化予防や痛みの改善のために重要です。
小学生の低学年でも出来ますか?
小学生の高学年の場合はほとんどの方が問題なく行えています。小学校の低学年の場合にはお子さんによって全メニューを行えない場合もあります。ただし小学生でも出来るメニューがあるため出来ることから少しずつ始めていくことが大事です。また小さなお子さんはご両親も覚えていただくことが運動を早期にマスターするためにはとても重要です。
レントゲンはない場合はどうすればよいですか?
レントゲンがあると、今後の経過を予測する計算式などを用いて細かく今後の経過を説明させていただくことが可能ですのでお持ちの場合は必ずご持参ください。レントゲンがない場合には、紹介状を作成して提携病院を紹介することも可能です。